左肩甲骨内側の痛みと左手のしびれ

症状

日頃から肩こりがひどかった。自分で治そうと、顎を引いたり、肩を引いたりして姿勢を気をつけることを良くやっていた。
一ヶ月前から左手の人差指に痺れを感じるようになり、特に顎を引く動作をすると痺れが強くなるようになった。
今では不意な動作で痺れが強くなるようになり、それ以来、うがいをする動作は痛くてできない。

分析

姿勢検査で左肩が極端に下がり、姿勢を正すだけで痺れが再発された。首の動きでは左回旋、左側屈、伸展で痺れは再現された。
手の感覚異常や筋力低下は確認されず、コンプレッションテスト、胸郭出口症候群の検査も陰性であった。
ただ、コンプレッションテストでは、姿勢を正した状態が強くなると痺れが再現された。触診で大円筋、左の小円筋、小胸筋、肩甲下筋に強い過緊張がみられ、左肩が内に巻いている状態であった。
右胸鎖乳突筋、肩甲挙筋や両頚胸部、上部胸椎レベルの起立筋の過緊張も強くみられた。
脊柱の動きは頚胸部、下部胸椎レベルで伸展制限がみられた。

施術

施術はまず、筋肉の緩和から行い、左の大円筋や肩甲下筋などの筋肉をゆるめた。
左の回旋、側屈出の痛みが半分までになったが、伸展は変わらず。
次に右の胸鎖乳突筋、肩甲挙筋へアプローチ、その後、頚胸部の起立筋にもアプローチ。思い切って右のストレッチをかけすぎると、先ほど緩めた左の筋緊張を誘発する可能性があるので、左右交互に徐々に緩めた。
これにより左回旋、側屈での痛みはほぼ無くなった。
次に上部胸椎、下部胸椎へアプローチ。
初回の施術で左回旋と側屈の痛みはなくなったが、伸展はほぼ変化はなかった。
その後4回の施術で姿勢を正しても痛みやしびれはなく、伸展の動きも80%回復。現在も継続中です。

考察

今回は猫背がひどく、首の伸展で下部頸椎付近に痛みがでる方は要注意な症状です。
あまりに猫背がひどいと、本来伸展の動きがある下部頸椎、上部胸椎の動きが極端に制限されます。
悪い姿勢での首の伸展は中部~上部で行いますが、良い姿勢での伸展は下部頸椎、部胸椎はもちろん、それ以下の胸椎や腰椎の伸展も正常でないといけません。
今回のケースは、悪い姿勢で猫背が癖になり、下部頸椎~腰椎までの伸展が制限されていました。
その状態で無理やり良い姿勢をとり、顎を引く動きをすることで、下部頸椎、上部胸椎付近の筋肉過緊張や椎間関節の障害を起こしてしまったと思われます。
それをかばうのに、いろいろな筋肉が過緊張し余計に圧迫を強めたと考えられます。
姿勢を正すことは腰から首までの動きを正常にすることですので、首や肩の動きだけが問題ではないのです。皆さんも気を付けてください。

※施術効果には個人差があります。