ふくらはぎの肉離れを繰り返すサッカー選手
症状
27歳 男性
左足、ふくら脛の痛みを訴え来院。
2ヶ月前にサッカーの練習中に左足のふくら脛が肉離れを起こした。
チームの提携先病院で精密検査を受け、軽度~中程度の腓腹筋の肉離れと診断された。
その後、時間の経過とともに痛みは治まってきたが、リハビリを行っている時に軽い違和感が抜けない状態が続いていた。
徐々にサッカーの練習に復帰したいが、軽いジョグは平気でも、ダッシュや横の動きで痛みがあり、細かい切り返しが怖くて出来ない。
また、既往歴として、右膝の半月板損傷(損傷部の修復手術済み)と靭帯損傷(保存療法)があり、左足のふくら脛、裏もも、前ももにそれぞれ肉離れの経験がある。
分析
検査時、左足のふくら脛(腓腹筋)に小さなしこりが幾つかあった。
足首の可動域も爪先を上に上げる動きで固さが見られた。
過去に肉離れがあった部位にも同様の小さいしこりがあった。
筋力検査では、左の裏もも(ハムストリング)と前頚骨筋に機能的な問題があり、腓腹筋も幾つか問題が見られた。
また、今回の症状とは別に、右膝の機能もチェックしたが、安定性とそれらをフォローする周囲の筋群に問題があり、完全に膝を伸展することが出来ていない状態だった。
施術
まずは、左ふくら脛の違和感と痛みを緩和するために、筋肉の機能を取り戻すようにアプローチ。
同時に、緊張の強い筋、小さなしこりが無くなるように筋膜のケアや虚血圧迫を行った。1回目の施術後にはダッシュが8割程度まで出来るようになり、3回めの施術後にはほとんどの練習メニューがこなせるまで回復した。
考察
今回の症状は肉離れ後のリハビリ的なスタートでしたが、結果的には「何故、左足ばかり肉離れになるのか?」という問題へのアプローチの方が重要でした。
選手がサッカーの練習に復帰するにあたって、練習後のふくら脛のチェックだけではなく、
・右足の使い方(利き足)
・切り返しの時の左足の重心
・右足でボールを強く蹴る時の左足の状況
に関して、幾つかの項目をチェックして欲しいと伝えて有りました。
結果的には、
・右足(利き足)でのボールタッチは問題ないが、踏ん張る時にやや不安定
・切り返し、特にボールを保持しているときに左足の外に重心が流れやすい
(左の足首のを軽く捻りそうになる)
・右足でボールを強く蹴るときに、左足が上手く踏ん張れていない感覚
がありました。
簡単に言ってしまえば、以前怪我をした右膝のリハビリが不十分で疲労がたまりケア不足の状態になると、左足で庇って怪我をするという状況が常態化していました。
古い怪我だったので、通常の負荷テストでは右足の筋力は問題ないレベルにまで戻っていましたが、右足の筋機能(特に大腿四頭筋、ハムストリング)や連動性が低下しており、可動域も若干低下が有りました。
その事で、サッカーのプレー中の一定の局面で右足を庇うため、左足が過剰な負荷を受け、結果的にバランスを崩して怪我に繋がる、という悪循環に陥っていました。
悪循環から脱するために、新たにリハビリ、トレーニングを行った所、左足への負荷は減り、パフォーマンスの向上が顕著に自覚できるまでになりました。
古い怪我とは言え、リハビリが不足している事は良く有ります。それによって他の問題を引き起こしていることもしばしばです。
特にプレー強度が高い競技、コンタクトスポーツなどは通常ではわからない範囲で、筋機能や連動性が低下し、身体の剛性を低下させていることもしばしばです。
※施術効果には個人差があります。